楽記

笙 うた 奏者 大塚惇平のブログです。

9/9 Torio Torio Summer Twilight 楽道庵

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先日の『小名木川物語』上映会でもご一緒した、今西紅雪さん、行川さをりさんとの「笙・筝・声」のデュオでの出演です。また、新しい試みとともにお届けできると思います。邦楽の即興の世界で面白い試みをたくさんされているScott Jordanさんの企画です。ぜひ、ご来場をご検討ください!

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Trio Trio - Summer Twilight
現代音楽・即興音楽

2017年9月9日(土)
開場19:00、開演19:30
場所:楽道庵 http://n-as.org/rakudoan/map.files/map.htm 
¥2500

出演グルップ:
「笙・箏・声」
今西紅雪「箏」
行川さをり「声」
大塚惇平「笙」

ZERO ZERO
スコット・ジョーダン「箏」
ノブナガケン「perc
武「kecapi, uni」

成熟と未熟。

仲野麻紀さんのopen radioを聴きながら笙の洗い調律なぞをしとるわけですが、この音楽文化の成熟したありようはいかがなものでしょうぞ…自分の未熟さが照らし出される訳ですが、、、

雅楽、笙、ひいては日本の「伝統」の世界というのは、やはり「明治維新」を通っていることのある種の「歪み」みたいなものが、まだ肯定的な意味で昇華されていないように思う。それは「日本」という国自体がそうなのだろうけれども。

仲野さんのradioを聴いているとすごいなー、こんな成熟した大人な世界があるんだなー、と思うけれども、ここ日本でこういうことをやっているからこそ響いてくる音、音楽がある。それが未熟なものであれ、だからこその生きて響いてくる意味。「全体」との関係の中でこそ響いてくる「個」。でかでかしいですね。

自分は熱心な「音楽ファン」ではないかもしれない、、と思うことがありつつも、大きく「生きている」中で響いてくる様々な「音」「音楽」に耳を澄ませたい。その地平でのコミュニケーションこそが自分にとって大切なことなのだ、と自己肯定してまた調律に戻ります。

植物が芽吹くように。

永田カビの「一人交換日記」が再開している。僕は永田カビさんのファンなのですが、

comic.pixiv.net

こういう切実で、大切な(おこがましいけれども「愛おしい」と思える)人間一人一人の営みがある中で、「個」の力ではどうしようもなく大きな社会レベル、国家レベルでのシステムがあり、動きがあり、情勢がある。そして今の地球の自然環境を含めた状態がある。

ああ、こんなにも人間が多様でそれぞれであって、今のこの状況。地球はこれからどうなってしまうのだろう、という思いがありつつも、人間は全体では深い底流でつながっていて、「わたし」という個の切実さを生きることが人間の全体につながっている、というふうに感じるし、そうであってほしいと思う。

植物が芽吹き、陰から陽へまっすぐに伸びていこうとするように、人間にも「より良くなる」という根本的な生命の意志のようなものがあると思う。いつか人間は滅びるし、今生きている人間の愛おしさのようなものがあったのであれば、それでいい、という見方もあるかもしれないけれども、そこにとどまらず、前を見据えること自体の運動性のみが、より良きものを生むのではないか、と思う。ある意味では、それはとてもシビアなことなのかもしれないけれども、人間は意志することができる動物だと思う。

最近思うようになったのだけど、人間は圧倒的に「違う」けれど、それと同じか、それ以上に「似ている」。あるいは、「似ているもの」の中にある「差異」をどうしようもなく決定的な違いとして感じたりする。他の文化圏から見たら同じようなものでも。こう言ったら身もふたもないが、所詮程度の差なのではとも思う。「人間みんな一緒」では決してないが、「違う」けれど「同じ」がある。問題は、どちらも知った上で、どちらに意識を向けるか。だと思う。偉そうなこと書きましたが、己の未熟さを痛感しつつ。

シリアスになりすぎず、かと言ってポイントは押さえて、楽しみながら。所詮浮世のこと。さてさて。楽しみなことがいくつかあります。今年を終える頃には自分はどういう心境に立っているのかな〜。

「響きあう」世界の先に。

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ようやく身体のこととか、色々と落ち着いてきて、これから旅を続けるにあたって、自分にとっていちばん大事なことってなんだろう?ということを考えています。自分が笙の響きの世界を通して在りたい世界、伝えたいことはなんだろう?と。長文ですがもしよろしければお付き合いくださいませ。

最近すご〜くハマっているマンガが、五十嵐大介の「ディザインズ」。そこには人間と動物の遺伝子を掛け合わせた「ヒューマナイズドアニマル」なる子供たちが出てきます。そこで重要な概念として、ドイツの生物学者ヤーコブ・フォン・ユクスキュルの「環世界」という概念が出てくるのですが、それはつまり「それぞれの動物がそれぞれの身体的、感覚器的条件で捉える世界」のことで、劇中のヒューマナイズドアニマルたちは、それぞれカエルやイルカや豹などの「環世界」を保ちつつ人間の自意識を獲得しているという設定になっています。

例えば主人公のカエルのヒューマナイズドアニマルのクーベルチュールは、主に皮膚感覚を通して世界を認識しており、特に水に触れることを通して世界と「響きあう」ことで、はるか遠く離れた場所の出来事や、「目に見える」世界を超えたものに触れる超感覚を獲得しています。いわば「神」の視点。

その同じく五十嵐作品でディザインズの前日譚である短編の「ウムヴェルト」では、ヒューマナイズドアニマルの開発者であるオクダは、神から最も遠くなってしまった人間たちに、蛙の感じる宇宙、環世界を教えてほしい、とクーベルチュールに語りかけて終わります。

まあ、ロマンティクな話といえばそれまでですが、でも、笙を吹いている時、また、即興演奏をしている時の感覚は、「響きあう」ことで世界にひらかれていく感覚であるのは間違いなくて、そこに自分にとって帰るべき「なつかしい」世界がある、と直感しています。また、笙という楽器自体が、そういった性質のものである、とも。

話は変わりまして、田口ランディさんのWebマガジン「ヌー!」を読んでいます。その中で、自閉症であるにも関わらず、「指弾」というコミュニケーションの方法を用いて他者とコミュニケーションをとることができる土井響さんという方が、「耳のまほう」という言い方で、それこそ世界と「響きあう」方法について語っています。それを読んでいて思ったのが、それは自分が即興演奏をしている時に大事にしている感覚や、笙の響きに感じている感覚にすごく似ている、ということでした。

思えば自分にとって最初の「響き」についての先生であった渡邊満喜子さんは、「声」を通して世界と響きあうことを教えてくれた人でした。僕にとって最初の即興表現の始まりもそこにあります。それが笙との出会いにもつながっていきます。

話はくるくるしますが、最近また宮田まゆみ先生の音源を聞き返していて、自分にとっての笙のファーストインプレッションを思い出しました。それは宇宙の響きであり、自分が最もなつかしいと感じる世界からの呼び声でした。

まだまだ、高野山空海への想いもつきません。なんせ生まれる前からのお付き合いですものね。空海も、その著作「声字実相義」の中で真言的な響きの世界に触れています。出家は・・しないと思います。笑。

さて。。私は何がしたいのでしょう。。。でも、全部繋がっていますね。なぜ生きるかというと、よりよく生きるため。よりよく生きるとは、自分のあるべき世界にあるということ。行くべき場所、会うべき人たちがたくさんいます。

(写真は屋久島いなか浜のアカウミガメのこども。この子はどんな世界に生きているんだろう?そして今も生き延びているのかな?)

 

2017.8.19.土. Music Trunk vol.3 『日本音楽とフラメンコについて、 Flamenco de Japón』

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国内外で活躍する太鼓奏者の吉井盛悟さんのこちらの企画に出演です!

今月19日の晴れ豆にて。最近フラメンコと日本音楽、芸能との共通点の話を聞くことが多く。僕自身色々知りたいなあ〜と思っているところです!

11月にはインド音楽との共演も控えているので、よりユーラシア大陸の音楽の繋がりをもっと知っていきたいなあ、とも。絶対に面白いと思いますので、ぜひ遊びにいらしてください。

ご予約・詳細は以下のからも。

Music Trunk vol.3 『日本音楽とフラメンコについて、 Flamenco de Japón』 « 豆風ライブハウス 代官山「晴れたら空に豆まいて」

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Open18:30
Start19:30
前売4,000円 当日4,500円(1ドリンク代¥600別)

このたび、以下のような面倒くさいことを色々と考え過ぎたので行動に移すことに致しました。

▪︎「やたらめったら=矢鱈滅鱈」の語源は雅楽の「やたらびょうし=八多羅拍子」という大阪四天王寺を由来とする五拍子のこととか、、そのヤタラの「タラ=多羅」とはインドのターラ(=リズム)が語源とか、、

▪︎インドのリズムとは輪廻であり、ある拍数の中に無限の音楽宇宙を作るとか、、

▪︎その感性はジプシー~ヒターノによって西にも行った、即ちそれがフラメンコとか、、

▪︎12拍の有限のリズムの中に踊りと音楽の無限の宇宙を作るのがフラメンコだとか、、

▪︎2拍と3拍の混合拍子とアジアのリズムとか、、、

▪︎さて、日本に伝わったターラは如何にとか、、

▪︎1200年以上前に伝わった踊りのステップとインド古典舞踊と古事記の岩戸開きでアメノウヅメノミコトがウケの上で踊った踊りとか、、、

▪︎インド古典音楽と日本の俳句の感性とか、、
五七五(17音)が生み出す宇宙観とか、、、

あー!ややこし。日本人が何故フラメンコが好きかって?
そりゃ、「アメノウヅメノミコト」もあれ系の踊りだったんでしょう!
ん~、頭を使う前に身体に聞いてみる。
観て聴いて頂き、答えを感じてみて頂きたし。

青森五所川原出身の天然ハネト、ぃゃ、天才バイラオーラ「工藤朋子」とその答えを探る。

《日本音楽》
笙:大塚惇平 箏:山野安珠美 太鼓:山部泰嗣 
《フラメンコ音楽》
カンテ:西容子
ギター :小林亮
パルマ:板倉匠

音楽の根幹に迫るプロジェクト「√Music Trunk vol.3」
「フラメンコと日本音楽について。」

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ありがとうございました/Essence of Japanese in Waterras ~雅楽を奏でる「笙・龍笛」~

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先日のワテラスコモンでのレクチャー&ワークショップ「Essence of Japanese in Waterras ~雅楽を奏でる「笙・龍笛」~」ですが、無事終了いたしました。お陰さまで多くの方にご参加いただけました。どうもありがとうございました!

まずはまず初めに、夏の調子である、黄鐘調音取、黄鐘調越殿楽を演奏。前半45分、雅楽とは何か?についての映像、画像を交えつつのお話、後半45分に龍笛、笙のチームに別れての体験ワークショップとなりました。

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同じく講師の笛奏者中村香奈子さんが前日のしつらえ講座にてしつらえたお花がちょうど五行を表していて、講座に文字通り花を添えていただきました。中村さんから色々お話を聞かせていただけたのもとても貴重でしたね!

体験ワークショップは笙、龍笛の音色を体感として感じていただけかと思います。なかなか触れる機会の希少な雅楽の楽器との触れ合いを楽しんでいただけたようで何よりでした。

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参加者の方とお話しして改めて思ったのは、雅楽の楽器は「敷居が高い」「触れる機会がない」と感じている方が多いと同時に、「興味を持っているけれど何処から入ったらいいかわからない」方が多いということでした。

こういったところは普段から触れている人間には見えなくなりがちなところなんですけれど、今回すぐに講座の定員が埋まったところからも、雅楽に興味を持っている方はとても多いのではなかろうかと希望が持てる会でもありました。

僕自身改めて雅楽、古典の勉強を深めたいと思っています。
また開催する折には是非よろしくおねがいいたします!

蔡怜雄・大塚惇平 動画公開しています

www.youtube.com

もう半年くらい前になっちゃいましたが、今回のアルバムと同時期くらいに国立のアグレアブル・ミュゼにて撮影した蔡怜雄くんとの動画を公開します。笙とトンバクによるものと、笙とレクにるもの、どちらも即興演奏です。音質など、反省点もあるのですが、何かしら伝わるものがありましたら。怜雄くんのかわいい帽子にも注目です。

www.youtube.com