楽記

笙 うた 奏者 大塚惇平のブログです。

多くの眼差しの集積として。

フランス在住のサックス奏者仲野麻紀さんのインタビュー。前々からファンなのですが、うーん、やっぱり憧れるなあ。「私」と「あなた」は絶対的に違う。けれど、その集積から世界は成り立っている。一人の人間の中に多様性がある…。

dokushojin.com同じように、「雅楽」という伝統に対する眼差しはそれぞれ個々に違って、個々に大切にしているものも違う。そのそれぞれに「違う」、雅楽に対する眼差しの集積が雅楽という「伝統」なのだろうとしみじみと最近思った。

本日、調布の深大寺にて、天台声明と雅楽の演奏、法要のリハーサルがありました。ある意味、声明は自分の原点のひとつだと思うのですが、少し遠ざけていた声明とまた出会えたことはとても嬉しいことでした。そしてやはり素晴らしいものですね。まさか金剛界曼荼羅供の附楽をやるとは・・・なかなか感慨深く思っています。

改めて、声明や、雅楽の響きの世界を、これが我々の音楽の根のひとつだと声を大にして言ってもいいのではないかと思ったな〜。どうしても日々、いわゆる西洋音楽の文法に寄り添うことが多いので・・・もっとこの感覚を知ってもらいたい気持ちはありますね。

根も羽も持ちたい、と、強欲なものでして、古典の雅楽の仕事もたくさんしたいし、西洋的な現代曲の仕事もしたいし、即興演奏や、生きることそのものの中にある「響き」に耳を傾けることもしたいと思っています。まだまだこれから。