楽記

笙 うた 奏者 大塚惇平のブログです。

東遊〜駿河歌のこと

書く書くといいながら、だいぶ間が空いてしまいました。思えば、書きたいことはいろいろあるのですが、ちょっと無精になっておりました…毎回重いので、軽くさらさらと。いろいろ書きたいことを書ければ。

さて、先日の雅楽講座のご報告も書きたいんですが。もう、今週末に古代歌謡の会が近づいております。

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 なので、ちょっと、今回やらせていただく演目の「東遊から 駿河歌(あずまあそびから するがうた)」のことを書いてみたいと思います。ちなみにまだ空席ございますので、もしよろしければ遊びに来てください。

「東遊」は、雅楽の中でも国風歌舞(くにぶりのうたまい)に分類される、京都から見て東国、いまの静岡あたりの歌舞の組曲です。その中から、「駿河歌」を今回は演奏させていただこうと思っています。

いまの静岡のあたりは、かつての都人にとってはほとんど外国?異郷であり、その歌舞の、鄙びた風情が愛されていたようです。「源氏物語」や「枕草子」などにも、東遊が好ましいものである旨が記されています。

さて、今回この東遊、特に駿河歌を取り上げたのは、わたくしの故郷であり、現住所が静岡だからです笑。まさに故郷の歌、と言っても過言ではなく、実際、歌詞の中に「有度浜」という部分があるのですが、これは静岡市にある有度山の裾に広がる浜のことを言います。有度山には有名な国宝の久能山東照宮があり、日本平があります。ちなみにこの有度山は自分の家の部屋の窓から見えます笑。

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大浜から有度山を望む。遠くに見える平べったい山です。その裾に有度浜が広がり、さらにその先に有名な三保の松原があります。

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大浜沿いの松の防風林、乾いた、鄙びた印象があります。

さて、駿河歌には舞があるのですが、これは、その有度浜に天女が舞い降りて歌い舞った姿をなぞらえて作ったという言われもあります。三保の松原は、この有度浜の少し北側にあるので、伝承の中で関係があるのかもしれません。

楽家録を書いた、江戸時代の有名な楽人、安部季尚も、三保の松原に立ち寄った折、三保神社(今もあります)にて駿河歌を歌い奉納したようです。

…僕はこの土地の生まれなので、多分ひいき目に見ていると思うのですが、この駿河歌の旋律は、なんとなーくこの土地の風俗に合っている…ように感じます笑。有度浜の鄙びた風情と、松林の感じ…和琴の調律も、どこか乾いて、からっとした感じがあり、静岡っぽいなあ〜、と思ってしまいます。

またしても長くなりましたが、そんなことを考えながら、駿河歌を歌ったりしています。今回の演奏会は他にも神楽歌、朗詠などやるので、ぜひぜひ遊びに来てください。

 

大塚惇平

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